昨日夢をみたよ。
 
 
 
■ 週末の夜に、それがひとりだったりして、外は曖昧な空気なのに、電話も掛かってこなかったりすると、大抵のひとは酒を嘗める。
 ひとりで飲んでもおいしくないだろう、と言うひともいるけれど、そしてそれは案外女性に多いのだけれども、ま、そこは流れで。
 そんなこともないのですよ。
 
 
 
■ ウイスキイは生で飲む。旨いからだ。
 と、若かりし頃の山口瞳さんが書いておりました。
 向こうの安いスコッチならそれで良いと思う。
 一時、酒の瓶を並べて喜んでいた時期があったけれども、もうそういうことはしない。封を開けると味が変わってしまう。
 六月になると、ペルノォという毒のないアブサンを嘗めることもある。
 それは、向こうの詩集を眺めるようで、何処かしらしゃらくさいポーズであったりするのです。
 
 
 
■ マイルス・デイヴィスが煙草を咥えているジャケットのレコードがある。
 その中に「サムシング・アイ・ドリームド・ラスト・ナイト」というのがあって、元々はシナトラの歌曲だったような記憶がある。
 地方の都市の、とあるジャズ喫茶では、これと、もうひとつ「リラクシン」というのを、お開きに流すのだけれども、看板まで粘っているのは大抵男だった。
 
 
 
■「風邪直っただろうか」
「うん。あれじゃ風邪もひくだろ」
「馬鹿だね」
「うん。馬鹿だね」
 だけど、馬鹿ってのは味がある。
 すこし苦いものも含まれているんだけれども、それは布団の中の本人が 一番よく分かっている。
「ワタシハ何ヲシテイルンダロウ」
 と、呟いたことのない男も女も暑苦しい。
 もうじき桜が満開だよ。